ITシステムのレガシー化問題というのは、経営者にとっても開発エンジニアにとっても頭のイタイ悩みです。
私は長年Web業界でエンジニアとして開発業務に携わってきましたが、システムのレガシー化改善というのは本当に憂鬱な作業でした。

では、なぜITシステムはレガシー化してしまうのでしょう?
今回はそのあたりを掘り下げていきたいと思います。

レガシー化の要因その1 – システムリスクの先読み不足 –

Webシステムでも社内システムでも同様ですが、その時点で最適なシステムを開発している訳なのでリリース当初は最新の状態だと思います。
最新の状態というのは、サーバー環境やOS、利用しているプログラム言語、機能仕様等です。

しかし、そのシステムをリリース後、社内の業務フローも合わせて変更し、しっかりと確立されてしまうとそのフローを変更することが困難なケースが出てきます。
たとえ、そのシステムにリスクがあっても、です。

個人的な解釈ですが、システムに完璧な状態というのはあり得ない、と思っています。
OSのバージョン、プログラムのバージョン、ライブラリのバージョンなど、日々何かしらのシステムの箇所でバージョンアップ対象の箇所が生まれています。
バージョンアップの内容は機能面のバージョンアップもありますが、多くはセキュリティリスクを回避するためのバージョンアップです。
このような状況で完璧なシステムは作れる訳もなく、仕様拡張やシステム拡張を考慮した設計が重要になるのは言うまでもないでしょう。

また、そのシステムを使った業務フローも拡張性や変化に強い設計が必要になります。
一度決めたルールが変更できないような社内の業務フローを作ってしまうと、システムの仕様変更や拡張に合わせたビジネス展開は困難な状況になるので、システムも業務フローも「変化に強い」設計を意識する必要があります。

レガシー化の要因その2 – ベンダー企業への依存 –

日本国内の企業において、自社でITエンジニアを抱えているところは意外に少なかったりします。
多くはベンダー企業と呼ばれる開発や制作を請け負う企業へシステムを発注し、その成果物を納品してもらうことがほとんど。
自社に数名でもエンジニアがいればいいのですが、全くエンジニアがいない企業は納品後、運用も発生するのでそのままベンダー企業へ保守・運用を依頼しつづけなければいけない、というケースもあります。
この場合、イニシャルコストもランニングコストもかかってしまいます。
もちろん、自社にエンジニアを抱えても人件費というランニングコストはかかりますが、ベンダー企業へ保守・運用を依頼する費用よりは全然安くすみます。

予算に余裕があれば保守・運用をベンダー企業へ任せるのもいいのですが、システムに関わる”ノウハウ”というものはベンダー企業側に貯まり続け、自社には全く貯まりません。
そうすると、ますますベンダー企業への依存度が高まり、ベンダーなしではシステム運用はもちろん、拡張すら難しくなるでしょう。

このような状況では、システムへの投資金額が高くなり思い切ったシステム改善に踏み出せないばかりか、「今は問題なく動いているから大丈夫だろう」という甘い考えで、将来のセキュリティリスクやシステムリスクを考慮せず、どんどん古くなっていくシステムを使い続けることになります。
これがレガシー化のはじまりとなるのですが、多くは中小企業で起こっておりレガシー化システムを使い続けているのも中小企業が多いのです。

レガシー化の要因その3 – ツギハギシステムの構築 –

ビジネスの成長や環境の変化に合わせて自社で利用しているITシステムが変化していくことは当然起こり得ます。
ただ、その変化を既存システムを土台にしてカスタマイズしていくと、どのようなことが起こるのでしょうか?

多くは、使わなくなった機能と新規の機能が同居した状態となり、データベースのカラムもこの先一生参照しないものが残り続けたりすることになります。

このようなカオスな状態のITシステムは、ツギハギだらけのシステムと呼ばれ、担当者ですら理解できないブラックボックスが生み出されていきます。

しかし、企業の経済活動として既存のビジネスを止める訳にはいかないので、ブラックボックスだらけになったシステムは使い続けなければいけません。

現場のエンジニアからすれば絶対に触りたくないシステムですが、予算や時間に余裕がない企業ではリスクの洗い出しすらできないため、結果的にシステムがレガシー化していく、ということになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
この他にもまだまだレガシー化の要因はあると思いますが、代表的な例を挙げさせていただきました。

少しでも心当たりのある経営層の方は今のうちからリスクヘッジを考えてみてください。大掛かりなことではなくても、小さなことから取り組めば、レガシーシステムから脱却する方法はあると思います。そして、それがDX(デジタルトランスフォーメーション)へのはじめの一歩へと繋がります。

もし何か不明な点がありましたらお気軽にご相談ください。

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